学園のお知らせ・ブログ
素敵な雨

梅雨明けが待たれます。雨が続くと、災害が起きたり、日々の小さなことでは、服や靴がびしょびしょになったり、髪がぺたんとなったり、自転車通学の生徒が登校するのが大変だったり、室内がじめっとしたりと、いろいろ悩ましいことがあります。
でも、雨を困ったもの、いやなものとばかり考えていると楽しくないので、”雨で良かった”を探すことにしました。
土が潤い、作物や樹木が育つ、鉢植えの花に水やりをしなくて済む、川下りが楽しめる、水不足の心配がいらない、ぼーと雨を眺めながらいろいろと考える時間ができる、お気に入りの傘がさせる、町からほこりっぽさがなくなる・・・等と考えてみました。
私の思考はそこまでですが、清少納言は「枕草子 九月ばかり」の中で、雨の素敵さを私たちに伝えてくれます。
「一晩中降った雨が朝はやんで、朝日の中で木々が濡れてキラキラ光っている、蜘蛛の巣に雨がかかり白い玉を連ねたように見える、時間が経つと雨の重みで小枝がしだれ、水滴が落ちるとその枝がピンと上に跳ね上がる」などと、その美しさ、面白さを繊細に表現し「いとをかし」、「あはれにをかしけれ」と感動を伝えています。
いつの時代も雨は同じように降り、その中で今と同じように人々の営みがあったのだと思うと、清少納言は何百年も前に生きた女性ですが、なんだかとても身近な人のような気がして、親しみを覚えます。このように不思議な思いになるのも窓越しに聞こえる雨音のせいでしょうか。
(6月25日)